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源氏物語の現代語訳、いろいろ [読書]

源氏物語は、日本で最も有名といってもいいくらいの「小説」ですが、
原文を読み通した人は少ないのではないでしょうか。

もちろん、私も原文に挑戦などつゆほども思っていませんが、
今、田辺聖子訳の「新源氏物語」を読んでいます。

思えば、最初に読んだ訳本は谷崎潤一郎訳。
確か中央公論社のもので箱入り薄紙付き美麗装丁で、
汚れた手では決して触れず、箱から出すのに思わず
姿勢を正したくなるような麗々しい本でした。
こういう立派な本を中学生の私が買えるわけはなく、
家の本棚にあった母の本を読ませてもらっていたのです。
しかし、正確に言うと「読んだ」とは言えず、
空蝉のあたりで早々と挫折しています。
だってー。読みづらいだものー。現代文なのに古文みたいなんだものー。
でも、系図や挿画はうっとり眺めまていました。

潤一郎訳源氏物語 (巻1) (中公文庫)

潤一郎訳源氏物語 (巻1) (中公文庫)

  • 作者: 紫式部
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 1991/07
  • メディア: 文庫


↑こちらは文庫本版。でも挿画は表紙の挿画はいっしょです。なつかしー!

高校に入って古文の勉強も兼ねて再挑戦。
これまた家にあったので与謝野晶子訳を読んでみました。
勉強のために読み始めたのに、思いのほか夢中に。
歌の部分はさっぱり解釈できませんでしたが、面白かったですねー。
しかし、角川のこの装丁はひどすぎませんか。軽い怒りを覚える。

与謝野晶子の源氏物語〈上〉光源氏の栄華 (角川ソフィア文庫)

与謝野晶子の源氏物語〈上〉光源氏の栄華 (角川ソフィア文庫)

  • 作者: 与謝野 晶子
  • 出版社/メーカー: 角川学芸出版
  • 発売日: 2008/04
  • メディア: 文庫



さらに。友達が円地文子訳を持っていたので、
私の与謝野晶子訳(と言うか母のですが)と交換して読みました。
源氏物語だけ、勉強熱心。というか、もはや勉強じゃないし(笑)。

源氏物語 1 (新潮文庫 え 2-16)

源氏物語 1 (新潮文庫 え 2-16)

  • 作者: 紫式部
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2008/08
  • メディア: 文庫


円地源氏が最もスタンダードで、読みやすいかもしれません。
当時の私たちのように高校生が古文の副読本にするには
円地訳がお勧めです。

そしてはるか時間がたって20代のときに橋本治の
源氏にも手を出したのでした。

窯変 源氏物語〈1〉

窯変 源氏物語〈1〉

  • 作者: 橋本 治
  • 出版社/メーカー: 中央公論社
  • 発売日: 1995/11
  • メディア: 文庫


「窯変」しているので、ずいぶん原文からは離れていますが、
不思議とムードがありました。
くだくだしくねっとりしていながら、人間らしい源氏でした。

そして今、読んでいるのが田辺聖子の「新源氏物語」。
なんと冒頭の「桐壷」「帚木」がないんですよ!
田辺聖子、やるなー。
これで現代語訳の源氏を通読するのは4回目になります。
私ったら、よく読むなぁw
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隼別王子の叛乱 不機嫌な恋人 [読書]


田辺聖子全集〈4〉隼別王子の叛乱・不機嫌な恋人

田辺聖子全集〈4〉隼別王子の叛乱・不機嫌な恋人

  • 作者: 田辺 聖子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2005/06
  • メディア: 単行本


最近はまっている田辺聖子。
今回は、古事記を題材にした「隼別王子の叛乱」と
王朝を舞台にした「不機嫌な恋人」を読みました。

隼別王子(速総別王とも)は仁徳天皇の異母弟。
仁徳帝の使者として女鳥王に帝との結婚の申し込みにたったものの、
女鳥王は申し込みを拒否。
隼別王子自らがその女鳥王をめとってしまい、
結局、二人とも帝に討たれてしまう話をもとにしています。

古事記にこんな話があったんですね。
大変にロマンチックな話ですが、甘くせずに古事記らしく
骨太かつ力強い物語に仕立てられています。

「不機嫌な恋人」は、舞台が平安時代とは思えない現代的な
タイトルですが、内容も今の感覚に近くなっています。
仕事を持った女性が女性が、年下の恋人を持ち・・・というストーリーは
するっと現代に置き換えられます。
非常に納得いく結末でした。

田辺さん、王朝ものだけでなく、古事記も自家薬籠中のものに
されてるんですねぇ。
読み終えてしまうのが惜しくなる楽しさでした。


隼別王子の叛乱 (1978年) (中公文庫)

隼別王子の叛乱 (1978年) (中公文庫)

  • 作者: 田辺 聖子
  • 出版社/メーカー: 中央公論社
  • 発売日: 1978/04
  • メディア: 文庫



不機嫌な恋人 (角川文庫)

不機嫌な恋人 (角川文庫)

  • 作者: 田辺 聖子
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1989/09
  • メディア: 文庫


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インビクタス [映画]

終わってしまいそうだったので、
駆け込んで見に行きました。
イーストウッド・ファンとしては映画館で見たいので。

ネルソン・マンデラとワールドカップ・ラグビーの話ですが、
なんと今のアメリカと重なることか。
もちろん初の黒人大統領を生んだアメリカだけでなくて、
誰にもなぞらえることのできる話です。
「私が我が運命の支配者、我が魂の指揮官」というのはマンデラの言葉。
確かに誰でも、自分が自分の指揮官になれるはずだし、なるべき。
でも、自分は自分の運命の支配者、自分の魂の指揮官になっているのだろうか・・・・。

マンデラは30年近く投獄されていましたが、
そのことを直接的に描かず、どうだー、こんなに理不尽だったんだぞー、
悲惨だったんだぞー、苦しかったんだぞー、にしなかったのがよかった。
アメリカ映画ってあまりそういうことはやらないし、
ましてやイーストウッドならなおさらやらないでしょう。

「グラン・トリノ」より爽快でした。
見に行ってよかった。
あ、マット・デイモンがラグビーチームの主将として出てます。
役作りのために体を作ったんだと思いますが、
それがますますジミーちゃんに似ておりました。
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今さらAVATAR [映画]

アカデミー賞も終わっちゃいましたが、
映画「アバター」、見てきました。

ストーリーは、そうですね、
まぁ、なんということもない・・・。
できれば2時間以内にまとめてほしかったです、
こういう映画は。
でも、最初は、変なアニメキャラみたいに見えていたナヴィ族?が
どんどん違和感がなくなり、しまいにはかっこいい&かわいいように
見えてくるのは、きっと見せ方がうまいからなんでしょうね。

3D は、予想通り楽しめましたが、
思ったよりメガネが重いというか大きいんですね。
(ちなみに六本木ヒルズのTOHOシネマズで見ましたが、
3Dにもいろいろ種類があるようで、上映館によって
メガネももっと軽いものや、使い捨てのものもあるようです)

もともと私は字幕が嫌いなほうなんですが、
3Dを字幕で見るのはやっぱり大変です。
前の方にある字を読んでいると奥で行われている芝居や
迫力ある景色を見逃してしまいそうになるので。
せっかく3Dならではの立体感アリアリの絵がじゃんじゃん出てくるのに、
字を読んでる時間がもったいないんですよ。
「いかん。これは字幕を読まずにちゃんとヒアリングをしよう」と
したら、途中で話についていけなくなって
やっぱり字幕に戻った情けない私でございました(笑)。

しかし、日本って洋画の吹き替え版、少ないですよね。
確かに声優さんの臭みというか独特のウソっぽさが気になることもありますが、
字幕を読んでいると画面が隅々まで見られなくて
ストレスがたまるときがあります。

アカデミー賞は主要部門の賞は取りのがしちゃったみたいですが、
3D体験はなかなかのものでした。
映画館で見る価値はあると思います。
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大河ドラマ [読書]


大河ドラマ入門 (光文社新書)

大河ドラマ入門 (光文社新書)

  • 作者: 小谷野敦
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2010/01/16
  • メディア: 新書


著者(小谷野敦)は「もてない男」(ちくま新書)でもありますが、
大河ドラママニアでもあるそうで、小学校低学年のころから
一部をのぞいて、ほとんど見ているのだか。
実は私も、子供のころからの家庭の視聴習慣をひきづって、
ほとんど見ているんです。あまり面白くなくても、「面白くないなー」と
思いながら見続けちゃうんですよ
(でも、さすがに去年の「天地人」は自分でもなぜか分からないけど、
耐えられなくて見ませんでした。今年の「龍馬伝」は見てます)。

著者別原作採用本数やキャスティング(五木ひろしへの違和感など
おっしゃる通り)、音楽など語りつくしています。

特に、「史実と大河ドラマ」の章で、「人物を諱で呼ぶのはありえない」の部分。
確か諱というのは、忌む名というような意味もあり、もともと口にする名前では
なかったはずで、著者の言うとおり、信長とか秀吉とか、
登場人物がその名を呼ぶはずはないと思います。
そうそう、明智光秀が本能寺前に「おのれ、信長」とか言うのをちょいちょい目にしますが、
本来はありえないんですよね。

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姓・諱・字について
例えば源義経の場合、義経は諱、字は九郎。
よって普通は九郎と呼ばれますが、官職名で呼ばれることが普通なので
九郎判官(判官は職名)とか単に判官ということがほとんど。
義経も同様ですが、信長、秀吉も諱。
・・・・だと思います。間違いがあったらごめんなさい。
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もっと気になるのは、著者の指摘通り、例えば「篤姫」で、
薩摩支藩のお姫様が供もつけずにひょいひょい外に遊びに行くところ。
私も見ていて、これはちょっとありえなさすぎる!と変な日本語で思ったくらいで、
最初の2,3回は決定的に違和感がありました。
そのうえ、このお姫様が藩の家老(調所広郷)をのこのこ訪ねて行き、
面会するトンデモ展開もありましたよね。
が!これも著者のいうとおり、とはいえ、この「篤姫」って
なんだか面白かったんですよね。
あれは宮崎おあいの力なんでしょうかね(脚本の力じゃない気がする)。
見るのがけっこう楽しみでした。

それから「新選組!」。著者は、三谷幸喜はそもそも大河に向かないと
言ってますが、私は何より新撰組という素材を選んでしまったことが
三谷幸喜の失敗の理由なんじゃないかと思います。
はっきり言って新撰組は血なまぐさい殺人集団なので、
それをアンチヒーローとして描くなら成立するんですが(でもそれは大河ドラマ向きじゃない)、
努力・友情・勝利みたいな少年ジャンプの価値観でやろうとするから
無理が出てくるんですよ。
集団を描きたかったら忠臣蔵に、青春を描きたかったら坂本龍馬に
しとけばよかったのに。
でも、一話で話が完結しているのとか、語りがないとかは、
ほんとによかったと思うんですけどね。

さて、この本には俳優(登場人物)の著者の手による似顔絵イラストが出てきます。
きっと似顔絵かくのは大変だったと思いますが、完成度が・・・・。なくてもよかったような。
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