やっと分かった！「クレーヴの奥方」 [読書]
- 作者: ラファイエット夫人
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1976/01
- メディア: 文庫
「まいにちフランス語」で澤田直先生のお勧めにしたがって（？）、
「クレーヴの奥方」、読んでみました。
面白かったですよ。
美貌の主人公、クレーヴの奥方は、そのまま源氏物語の
大君であり浮舟でありました。
時代を越えて、洋の東西を越えて、この同調ぶりは驚くばかり。
そして、源氏物語を現代語訳で何度か読んでも、
どうもピンとこなかったのが大君と浮舟でした。
当代一流の貴公子に一途に思いを寄せられても、
かたくなに拒みとおす大君と浮舟。
その頑強な意志がどうもよく分からない。
同じようにクレーヴの奥方も、
美貌のヌムール公に恋をしていながら、
最後まで拒みとおします。
ただ、やはりフランスの小説だけあって、最終盤の二人のやり取り、
まぁ、よくしゃべります。
文庫本にして12ページもほぼ会話だけ。
ときには1人で1ページ以上も「語る」ことも。
このしゃべりっぷりは日本人にはありえません。
でも、こうやってよくしゃべってくれるからこそ、
なぜ主人公のクレーヴの奥方が、ヌムール公の愛を
受け入れられないのか、分かるような気がします。
世間体や亡くなった夫、クレーブ殿への義理だてもあるでしょうが、
それ以上に、愛を得るということは同時にそれを失うかもしれない恐れと
ともにずっと生きていくということでもあります。
17世紀の古い小説ですが、1000年前の源氏物語を楽しめる私たちに
とっては、なんの問題もなし。すらすら楽しめる小説です。
アンリ2世と愛人ヴァランチノア夫人（ディアーヌ・ド・ポワティエ）、
王妃カトリーヌ・ド・メディシス、メアリー・スチュアートなど
他の登場人物も豪華絢爛です。
しかし、併録されている短編「モンパンシエ公爵夫人」と「タンド伯爵夫人」は
いきなりあらすじを読んでいるかのようなスカスカ感で、
これはこれでびっくりしました。
どうでもいいんですが、「クレーヴの奥方」では「ギーズ公」だったのが、
「モンパンシエ公爵人」では「ギュイーズ公」になっているのはなぜなんでしょう？？
2010-05-20 13:56
nice!(4)
コメント(6)
トラックバック(0)
新しいブログ開設おめでとうございます♪
とてもシンプルでいいですね☆
（前のも少しお引っ越し出来ているんですね。コメントも出来ているので驚きました！）
フランス人って確かにイメージ的にしゃべりそうな気はするのですが、実際もよくしゃべるんですか？（笑） というか、わかりやすそうでいいですよね。うっかり思慮深い人に遭遇すると…気をつかいますし。本の行間を読め！ と言われてもわからないこともあるので、全部しゃべってくれるなら読みたいなと思ったりします
＾＾：
ということは、あの作曲家やあの人や…みんなよくしゃべっていたのかな…。
by うさ (2010-05-20 23:56)
こちらにもいらしていただいて、ありがとうございます。
前のエントリーも割りと簡単に移設できましたー。
フランス人は、よくしゃべりますよー！ 寡黙とか不言実行とか男は黙って・・・というタイプは、かの国では超マイナーだと思います。パリオペラ座の元エトワール、上品を絵に描いたようなマニュエル・ルグリも、テレビで見ると爆裂トークで、ちょっとイメージが・・・。
でも、エリック・サティやボードレールが爆裂トークだったら、なんかちょっとイヤですねｗ
by chicory (2010-05-21 01:23)
クレーブの奥方を読んだのは、大学生の頃だったので、源氏物語と
似ていることに、気づきもしませんでした。今なら、あ～なるほど、と
わかります。いろんな形の愛があること、それらがどれも容認される
のが、フランスでしょうか。
by TaekoLovesParis (2010-05-21 21:48)
源氏といっても宇治十帖ではありますが、女性作家という共通点もあるかもしれません。少女漫画にも共通するテイストがあると思います。
恋愛のバリエーションの豊富なことや鷹揚なことは、意外に日本に軍配が上がるような気がします。
by chicory (2010-05-22 00:13)
こちらにもおじゃましにきました。
2つのブログを使い分けるのって大変そう・・・
私にはできないワザですよ（＾＾；
by tubasa (2010-05-23 01:56)
こんにちはー。
いえいえ、全然使いこなしてないですー。
この後、また一体化したりしてｗ
by chicory (2010-05-23 13:28)