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オリンピックの身代金 [読書]


オリンピックの身代金

オリンピックの身代金

  • 作者: 奥田 英朗
  • 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
  • 発売日: 2008/11/28
  • メディア: 単行本


日本のミステリーを読むのは久しぶり。一日で一気に読みました。
推理小説って、結末を知りたくて(読みやすいこともあるかな)、
途中でやめられなくなっちゃうんですよね。

オリンピックとは、北京でもバンクーバーでもなく、
1964年の東京。
確か以前にも東京でのオリンピックは決まりかけていたけれど、
戦争で流れ、そしてその戦争でコテンパンにされ、
這い上がってきたころの日本が舞台です。
明治維新からこのかた、無理に無理を重ねて「一等国」になり
(そうしないと搾取される側に蹴落とされるから、そうするほかなかった)、
それが破たんして敗戦。
そこからまたのし上がってきた、そんな昭和39年。

私はまだ生まれていなかったけど(ま、すぐ生まれるんですけどね)、
日本はまだ貧しかったし汚かった。
国をあげて「外国のお客さんに恥ずかしくない」ように東京を仕立てたけれど、
地方は何も変わらなかった。
家柄や学歴で恵まれている人がいれば、
そうでない人もたくさんいた。
主人公が働く工事現場の、ゼネコン、元請け、下請け、その下請けなんて
構図を見ているとやりきれないものがあります。

今だって、乱暴にふたをしているから見えないだけで、
その下には臭いどぶ川が当時のまま流れているのかもしれません。
読んでいるうちに、そう昔のことでもないように思えてきます。

主人公は、秋田の貧しい村出身の東大院生ですが、
本当の主役は、東京オリンピックだろうなぁ。
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コメント 10

tubasa

私はまだこの作者の本を読みかけのまま、です(^^;
町長選挙を読み始めてすぐに、活字イヤイヤ症候群が出てしまいました。
今回の復活は長そうで、次に読もうって本を買ってはそれがたまってしまってますよ(笑)
by tubasa (2010-04-12 01:24) 

chicory

こんにちは。活字イヤイヤ症候群・・・た、大変ですね。
でもブログができるくらいなら、きっとすぐ復活できそうですね??
私はお菓子イヤイヤ症候群になりたいです。
by chicory (2010-04-12 13:47) 

keisuke

東京オリンピック生まれです(1964年ですね)。12月生まれなので終ってたけど。
ふつふつとした熱気を母のお腹の中で感じていました。
by keisuke (2010-04-12 22:21) 

chicory

すみません。エントリーで間違って1969年としてましたが、直しました。
keisukeさん、オリンピックイヤー生まれなんですね。
あのころは、今とずいぶん違うような、違わないような、そんなことを感じさせられる本でした。
by chicory (2010-04-13 00:57) 

TaekoLovesParis

生まれてたから、あの頃、どんなだったんだろうと、読んでみたいです。
突貫工事で新幹線と、高速道路ができたんだから、すごいですよね。
それだけに、裏には、、不思議じゃない気もします。
by TaekoLovesParis (2010-04-13 08:49) 

chicory

あの頃のように簡単に熱くなったりしないのは、良いような気がするんですが、ひずみはそのまま残っているような気もします。
昨今のミステリーにしてはあまり長くなく、楽しめる小説だと思います。
by chicory (2010-04-14 15:40) 

うさ

タイトルを見てちょっとぎょっとしました。内容もとっても濃そうな感じですね。東京オリンピック、私は1歳の時(やっぱりchicoryさんよりお姉さんだったんだわっっっ!)。記憶も何もありませんが…。
by うさ (2010-04-15 00:10) 

chicory

明るい内容ではありませんが、時間がないときでも一気読みできるエンターテイメント小説だと思います。ぜひお気軽にどうぞ。
なんと、うささん、お姉さんだったのですね。失礼をば、お許しください。
by chicory (2010-04-15 21:19) 

どらっち

私の両親が24年生まれだから、15歳の時
なんですね、東京オリンピックって。
聞いてみたら、教えてくれるかなぁ。
けど、田舎な人達だから、テレビがあるないが
大きな分かれ目になりそう?
by どらっち (2010-04-23 06:07) 

chicory

15歳って、思春期真っ只中ですね。
日本がグングン変わっていったころのようで、
エネルギッシュだったんでしょうね。
こういう大きな変化が起こるときは
ひずみもでかいんだなーと
停滞期の我々にはなかなか想像つきませんが。
by chicory (2010-04-23 16:02) 

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