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聖なる怪物 [読書]


聖なる怪物 (文春文庫)

聖なる怪物 (文春文庫)

  • 作者: ドナルド・E.ウェストレイク
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2005/01
  • メディア: 文庫


私の愛してやまない不運な泥棒ドートマンダーを主人公にしたシリーズで
有名なドナルド・E・ウェストレイク。
ドートマンダーは笑えるんですが、
この「聖なる怪物」はドートマンダー・シリーズではない作品。

ジャック・パインというハリウッド・スターの
「怪物」の怪しい、いや悲しい、そして怖い話です。

実際、作者のウェストレイクは映画やテレビの脚本も書いているので、
この業界をそばから(内側から)のぞける立場。
そういう意味ではリアリティがあります。

しかし、実際、マイケル・ジャクソンとかブリトニー・スピアーズとか
パリス・ヒルトンとかリンジー・ローハンとか、
見ていてこちらが辛い(痛い)気持ちになるスターはたくさんいます。
なんでなんでしょうね。
富と名声が大きすぎる(なんせハリウッドスターともなると世界のセレブリティ)、
ドラッグが手に入りやすい、
ポリティカリー・コレクトネス要請がきつい・・・から?
意外に最後の要因は大きい気がします。

この主人公、ジャック・パインの悲劇の一因も彼が
スターであることにあるんですよね。
やや落ちが見え気味で、衝撃のラストとまではいきませんでしたが、
終盤のたたみかける勢いはすごかったです。

橋本治と内田樹 [読書]


橋本治と内田樹

橋本治と内田樹

  • 作者: 橋本 治
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2008/11/27
  • メディア: 単行本


タイトルは「橋本治と内田樹」ですが、
正しくは「橋本治に話を聞く内田樹」という実体の対談集です。

語られることは、もっぽら「橋本治」。
内田樹は聞き役に徹しています。
確かに橋本治って、刊行物はやたらと多いのに批評されない作家です。
なんかすごく手を出しにくい感じとがするんじゃないでしょうかね。

実際、橋本治のエッセイやコラムよりも、
この対談のほうが、橋本治が「見える」気がします。

いろいろ核心にふれる箇所は多いんですが、
私は橋本治のこんな発言が面白かったです。
以下引用。
「俺はヴィトンのバッグを持っているということが馬鹿の証拠だと思うので、
少なくともヴィトンのバッグを持った人が向こうから来たら、ちょっと距離を(笑)おきます。
馬鹿がうつらないように(笑)」
この意地悪ぶりが「官討」につながるのかな。

やっと分かった!「クレーヴの奥方」 [読書]


クレーヴの奥方 他2篇 (岩波文庫 赤 515-1)

クレーヴの奥方 他2篇 (岩波文庫 赤 515-1)

  • 作者: ラファイエット夫人
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1976/01
  • メディア: 文庫


「まいにちフランス語」で澤田直先生のお勧めにしたがって(?)、
「クレーヴの奥方」、読んでみました。

面白かったですよ。
美貌の主人公、クレーヴの奥方は、そのまま源氏物語の
大君であり浮舟でありました。
時代を越えて、洋の東西を越えて、この同調ぶりは驚くばかり。
そして、源氏物語を現代語訳で何度か読んでも、
どうもピンとこなかったのが大君と浮舟でした。

当代一流の貴公子に一途に思いを寄せられても、
かたくなに拒みとおす大君と浮舟。
その頑強な意志がどうもよく分からない。

同じようにクレーヴの奥方も、
美貌のヌムール公に恋をしていながら、
最後まで拒みとおします。

ただ、やはりフランスの小説だけあって、最終盤の二人のやり取り、
まぁ、よくしゃべります。
文庫本にして12ページもほぼ会話だけ。
ときには1人で1ページ以上も「語る」ことも。
このしゃべりっぷりは日本人にはありえません。
でも、こうやってよくしゃべってくれるからこそ、
なぜ主人公のクレーヴの奥方が、ヌムール公の愛を
受け入れられないのか、分かるような気がします。
世間体や亡くなった夫、クレーブ殿への義理だてもあるでしょうが、
それ以上に、愛を得るということは同時にそれを失うかもしれない恐れと
ともにずっと生きていくということでもあります。

17世紀の古い小説ですが、1000年前の源氏物語を楽しめる私たちに
とっては、なんの問題もなし。すらすら楽しめる小説です。

アンリ2世と愛人ヴァランチノア夫人(ディアーヌ・ド・ポワティエ)、
王妃カトリーヌ・ド・メディシス、メアリー・スチュアートなど
他の登場人物も豪華絢爛です。

しかし、併録されている短編「モンパンシエ公爵夫人」と「タンド伯爵夫人」は
いきなりあらすじを読んでいるかのようなスカスカ感で、
これはこれでびっくりしました。
どうでもいいんですが、「クレーヴの奥方」では「ギーズ公」だったのが、
「モンパンシエ公爵人」では「ギュイーズ公」になっているのはなぜなんでしょう??

細川家のお宝の山 [展覧会]

上野の国立博物館でやっている「細川家の至宝」に行ってきました。
細川家に古くから伝来する美術品(武家の伝統)と、
護立コレクションの2部に分けた展示。

1部(武家の伝統)の、茶道具や
能衣装(蔓帯が気が遠くなりそうなくらい超絶かわいい!!)が圧倒的でした。
刀の鍔や鎧がめっちゃおしゃれなのも驚き。
あの華麗な鎧でほんとに戦に行くのかしらん?
こんなにお宝がいっぱいあるお家って大変ですわな。

2部の護立コレクションもすごかったですよ。白隠とか仙崖とか。
でも、どうもこの時期の美術愛好家の方々の素晴らしい趣味が
なんかよく分からないので・・・ええ、もちろん私の見る目がないんですが。

長谷川等伯展に行ったときも思いましたが、
美術品に関しては、日本のものを見るとテンションが上がります。
博物館や美術館なので、おとなしくしてますが、
好みのものを見つけるときゃーきゃー騒ぎたい気分。
ルーブルでもオルセーでもMETでもグッゲンハイムでも
MOMAでもバチカンでもウフィツィでもアッカデーミアでも
こんなに楽しい気分になったことはありません。
(あ、でもサンマルコ寺院とサンジョバンニ礼拝堂は心打たれましたが)

ちょっと話が飛んじゃいましたが、
骨董好きな方も含めて、いろんなものが見られます。
そうそう、信長の書状なんてものまでありました。
どれかひとつは好きなものが見つけられるのではないかしらんと思います。

http://hosokawaten.com/index.html

フランス人はお笑い好き? [映画]

ちょっと前のOVNI http://www.ilyfunet.com/
に、載っていた歴代フランス映画ランキング。

1 Bienvenue chez les Ch'tis (未公開作ですよね)
2  大進撃
3 ミッション・クレオパトラ
4 おかしなおかしな訪問者
5 陽気なドンカミロ
6 大追跡
7 ブロンゼ3
8 タクシー2
9 赤ちゃんに乾杯!
10 レ・ミゼラブル

あらー。確かに、コメディばっかりですね。
私が見たのは「赤ちゃんに乾杯!」(これは面白かった)と
「おかしなおかしな訪問者」(うーん。面白かったとは言い難い)しかありません。

日本で公開されるフランス映画は年々少なくなっているそうです。
最近は中国や韓国の映画も多いし、
邦画の公開も多いですもんね。

で、またOVNI から 歴代邦画国内ランキングも。
1 千と千尋の神隠し
2 ハウルの動く城
3 もののけ姫
4 踊る大捜査線2 レインボーブリッジを封鎖せよ
5 南極物語
6 子猫物語
7 天と地と
8 踊る大捜査線
9 敦煌
10 ROOKIES

ジブリとフジテレビって感じですね。
私が見たのは9位の「敦煌」だけ。
この映画が興行収入ランキング入りしてるとは意外です。
バブル期だったので企業がたくさんチケット買ったのかな。
でも、ベスト10の中で1作しか見てないのね、私。

さてさて、フランス映画が好きなわけでもありませんが、
ロマン・デュリスの新作は面白そうなんですよ。
予告編によると、彼の役どころは夫婦の別れさせ屋で、
フランス人のお好きなコメディのようです。
なぐられる?ロマン・デュリスがかわいい。

ヴァネッサ・パラディも出てますね。
日本で公開されるかなぁ。難しそうかなぁ。

タイトルのL'Arnacoeur は、
詐欺師(arnaqueur)と heart(coeur) をかけているのだと思います。

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