女の長風呂 [読書]
長年、田辺聖子は敬遠していた作家でした。
スヌーピーとか宝塚とかお洋服とかインテリアとか、
田辺さんの趣味はどうも自分と接点がなさそうで。
ところが豊崎由美が褒めていたのでいたので、
手にとってみたところ、確かに面白かったのです。
田辺さんといえば流行作家中の流行作家。
でも直木賞じゃなくて芥川賞もらってはるんですけどね
(影響されてちょっと関西弁になる)。
流行作家の証として?週刊誌にエッセイを連載。
今の林真理子みたいな感じでしょうかね?
それがこの「女の長風呂」。
文芸春秋から出てますから、週刊文春の連載だったんでしょうか。
お色気エッセイとも帯に書いてあったりしますが、
もちろん田辺さんですからそんなスゴイことは書いてありません。
女と男の精神的な行き違い・勘違いなどが
へー、ふーん、なるほどねー、てな具合で書かれています。
面白ろうございます。
中でも、男性が少女を神聖視する場合がままあるようですが
(宮崎駿さんとか少女は人ならぬものと思われてるような気がします)、
そういう幻想に対してそこまで言わんでもというくらい、
十代の少女の実態をおかしく書かはってます。
そしてこういう軽いエッセイも、
どことやら骨太な感じもします。
別に世情を嘆いたり、何かを糾弾したりしなくても、
強いものが感じられます。
何やらえらそうなところが一切ない。
愚痴めいたことをいっさい言わないのは、
やはり強いものをもっておられるんだと思います。
さらに最近の「残花亭日暦」。
田辺さんのエッセイで泣くとは思いませんでした。
そもそも本を読んで泣くことなんてあまりありません。
やっぱり洋服や雑貨の趣味はまったく相いれないとは思いますが、
それだけで敬して遠ざけるというのもよくないのだなと痛感しています。
今は全集を手に入れたい気持ちです。
田辺聖子さんは、わたしもちょっと“苦手感”がありました(笑)。本屋さんでも素通りしてしまうくらい・・・。でも、chicoryさんがお読みになって楽しめたなら、いけるかも?って思っちゃいました(笑)。
by ミホ (2008-05-24 15:35)
私もずっと自分には縁のない作家だと思っていました。どうしてもかつて読んだことのある作家のものを選びがちなので、田辺さんのほかにもいろいろ試してみたいと思ってます。
by chicory (2008-05-25 23:16)